2010年01月02日
ロリィタs Not Dead!! 17話
おかしな現象ですわね?
さっきまで客席前列は普通の青年男女がいたはずなのですが・・・?
sodom終了後、入れ替わるように最前列に陣取ったのは、「オラオラ系」をとっくに卒業し、更に進化を遂げたヒールな面々。
社会不適合者の集いとなっておりました。
チューニング、アンプのセッティングしてるメンバーに、「早ぅやらんかい!」「ウォ~~イ!バカ野郎~!」「三太ぁ!ぶっ殺す!」だの罵倒としかとれない声を容赦なくかけてます。
放り込まれたビール瓶はシンバルに当たり、警鐘のごとく鬼気迫る音をリバーブさせます。
イントロにあわせ、さっそうと登場が私のリクエストであり、段取りです。
それまでに勝手に開いてしまうスカートをなんとかしなければなりません!
なんとかしなければ・・・
そうですわ!ヘアピン!!
これを使ってスカートの裾を留めれば!
私は周囲を見回し誰もいない事を確認すると、スカートを大きく捲りあげます。
あぁ、6段ものフリルが邪魔して裾がどこだかわからないじゃありませんか!?
焦るから尚のことですわ。
落ち着いてビクトリア!
あっ!三太さんのカウント鳴った!
ism風アレンジ、「SHAM69」の「BORSTAL BREAKOUT」です。
ひっかきまわすかの誠二さんのギター。
ゴリゴリゴリッとえぐるような省吾さんのベースが覆いかぶさります。
あ・ああ、もう少し。。
OK!裾止めた!!GOですわ!!!
セルロイドの彩りがグルグルグルと交差するステージ。
1本のピンスポットが遅れて登場する私をサーチします。
その眩しさで客席がまるで見えません。
ふんだんに使われたドレスのシルバー。
それに反射した光が、会場のあちこちに小さな星を作ります。
異質なものを拒むかのように、空気が、そして流れが変わるのが解ります。
さっきまでの罵倒は当然、私に向けられます。
「ウォ~~イ、ネェちゃ~~ん!」だの、「デケエな、あいつ!」だの「X%!’&~(自主規制)」だの。
なんて下品な人たちでしょう!
手のひらの汗は止まりません。
さながら監獄に放り込まれた乙女です。
「落ち着くのよ、ビクトリア。」
私は自分に言い聞かせます。
転ばないように。
そして1歩1歩静かに。
こうなるシュミレーションはレクチャー済みですわ。
「堂々とよ。」
「そうよ。。堂々とやればいいの。」
呟く私の声にリンクするように、どこかでおししょー様の声が聞こえました。
センターに立ち、マイクに手を置きます。
さっきまでリサが使っていたマイクスタンド。
175cmの私にはあまりに低すぎます。
高さを調整しなければ。。
あら?
うっ!
固い!!
マイクスタンドのグリップが動きません。
手のひらに掻いた汗で滑るため、尚の事。
イントロは続きますがそろそろ終盤。
歌が始まってしまいますわ!
ヤバイですわ!
あ~~~~~~~~~!
もう間に合いません!!
中腰になり、マイクを両手で握りしめ、覆いかぶさるように私は歌いました。
優雅に、そして高らかに歌う計画が、瞬く間に大失態です。
ヘッ?
アララ??
うつむいているので様子は窺えませんが、その姿、その声に会場が沸いています。
何に盛り上がってるのでしょう?
私のお歌ですか?
!
あぁ!そうですわ!
この姿ですわ!!
これはかつてのピストルズのジョニー・ロットンさんスタイルです。
あの無様にヨタヨタと中腰で歌う見苦しい格好ですわ。
奇しくもソレがパンク野郎の心を掴んでしまったのですね!?
舞台の袖で腕を組み、睨みつける視線を感じました。
リサが「しくじった!」って悔しげな顔してました。
な~~るほどね。。
マイクスタンドを強く固定したのも彼女の仕業ですね。
一言言いたいとこですがここは。。。
「ざまぁみろぅ!ベロベロバー!!」
そう念じると、私は中指を立てて彼女に突き付けたのでした。


